第36回館山若潮マラソン
2016年1月31日(日) 曇り
記録:3時間48分07秒
順位:総合1,275位/5,781人 男子60歳代37位/464人
過去の記録を振り返ると、館山は2001年以来15年振り久しぶりの参加だった。昨年もエントリーを済ませ出場の予定だったが、お祝い事があり残念ながら参加を見送った。昨年出場していれば、また違った想いで出場したに違いない。いずれにしても今年初めて千葉県人として参加した。15年前のレースでは当然の事ながらサブスリーを狙って走り、幸運にも3時間を切ってゴールする事ができた。レースは菜の花の咲いている気持ちの良いフラワーラインと30キロまでのきつい上りが印象に残っていた。今年は既にランナーとして走る事は諦めゴールまで走り切る事だけを目標にしていた。当時とは全く違う意識で参加する事になった。しかし会場の雰囲気は変わっていない様に見えた。
市原から館山まではおよそ70キロ、高速が伸びているので車では1時間ほどで着いてしまう。朝は4時に起床、餅の朝食をとり、5時半に家を出発した。スタートまではまだ時間もあるので、着いてから食べるために弁当に餅を持って出掛けた。その他にいつものマラソン用の食料も用意した。現地には6時45分頃到着、スタート会場近くの駐車場に車を止めた。横浜から参加の鉄人メンバーも同じ駐車場に車を止めたので一緒に行動することができた。特に記録を狙う訳でもなく、レースに向けての緊張感などは無かった。
スタートは10時、時間に余裕があったので8時半頃から軽いアップを始めた。ジョグとストレッチで十分だった。参加者は5,000人ほど、大田原などの様に記録を狙うランナーばかりではないのでスタート地点の混乱は無かった。スタートの20分ほど前にスタート地点に並べば十分だった。整列の場所は目標記録3時間半の先頭、すぐ隣に3時間半のペースランナーも並んでいた。
10時ちょうど、スタートの合図が鳴った。スタートラインまでは1分少々の時間を要した。こんなに時間が掛かるのはゼッケン順に並ぶレース以外では初めて、自分からわざわざ後ろに並ぶのは初めてだった。今回のレースも先頭に並ぼうと思えば並ぶ事ができた。それくらいゆるい大会だった。
1月初めに行われた高滝マラソンで速く走ると脚にダメージがある事が分かり、もうこれからはスピードを追求して走る事は諦めた。あくまでも42キロ先のゴールを目指して走るだけのレースになった。速くてもキロ5分くらいのペースが私のスピードだった。スタート時に並んだ位置はゴールタイムが3時間半のブロック。その周りのランナーに合わせて走るのが精一杯できる事だった。周りのランナーと競う事無く常にマイペースで走るだけだった。
タイムは問題ではなかった。また途中のスプリットタイムなども無用だった。時計を見ればラップが気になるし、ゴールタイムの計算などもしてしまう。速く走りたいけれども速いペースは私から取り上げられていた。そのためにはもう時計は要らないものだった。見たくなる事も時々あったが、じっとこらえた。それくらいの事には耐える事ができる。
前にも書いたように15年振りの参加、会場の雰囲気は以前と変わっていなかった。懐かしく感じた。スタート地点も変わっていない。並びも緩やか、ゆったりとしている。何が何でも前方に並ぼうと思うランナーは多くない。5,000人ほどが出場する大会で、サブスリーのエリアに並ぶランナーは100人くらいしかいなかった。ちょっと拍子抜け、もう少しいてもいいだろうと思ったが、コースが厳しいだけに自重しているのか。あるいは最近のランナーは自分の並ぶべき位置を知っているのだろう。
スタートしてすぐに橋を渡る。これも当然変わっていない。あとは道なり、ただ人の後ろを走るだけ。走路の右側、海岸側はきれいになった様な気がする。公衆トイレなども短い間隔で設置されている。トイレに行きたければこれらを利用すれば良さそうだった。
数キロ走って自衛隊の駐屯地の前を通過するが、今回は往路で距離調整の折り返しが作られていた。以前は復路で同じコースを走った様な気がした。200mほどか、100mくらいかもしれない。右折して海の方に行って折り返して来る。たくさんのランナーが私の前を走っていた。私が折り返して行くと、中村さんから声が掛かった。しかし姿は分からなかった。他のメンバーは存在すら分からなかった。
本コースに戻り、海岸線のコースを走る。数年前バイクでここを走った事があった。バイクの時もそうだったが、こんなにアップダウンがあっただろうかと思う様なコースだった。自分のペースはどんなもんだかはっきり分からない。キロ5分程度のペースで走っているつもりだった。周りの状況に合わせてまずまず気持ち良く走っている。それだけで十分だった。
洲崎灯台の入り口前を通過するとそろそろ海岸線、菜の花の咲くフラワーラインに入っていく。きれいな菜の花を期待したが、今年は暖冬だったからか、既に菜の花は終わっていた。ちょっと元気の無い菜の花だった。フラワーラインもかなり長い距離を走る。以前は前を追って懸命に走っていた事を覚えているが、今回はまだ走らされるのかと言うくらい走らされた。なかなかフラワーラインが終わらなかった。
フラワーラインを終え、少々上る坂に差し掛かるとすぐに戻りのコースに入る。そこは地元にかなりの支店があるスーパー、そこを鋭角に左に入っていく。そこで私の名前を呼ぶ人がいた。その声の先を見ると、数年前まで鉄人クラブに在籍し、今はこの館山近辺に移住して来た平井さんだった。顔を見てすぐに分かった。応援に感謝し更に久しぶりに顔が見られた事に喜んだ。こちらから平井さんの方に寄って行き、感謝の意を伝えた。嬉しい瞬間だった。
しかし喜んでもいられない。これから上り坂が始まっていく。脚もだいぶ疲れてきていた。気持ちを引き締めて上りを迎える。しばらくは緩やかに上りながら比較的広い道路を走る。この辺りは民家が多いのか応援をしてくれる人も多い。所々私設エイドの人達もいたが、私にはまだ用が無かった。
以前に出た時は、こんな所を走っただろうかと思う様な所で、更に細い道路に入っていった。次第に上っている様だった。道路はかなり狭くなり、生活道路から農道の様なところにも入っていった。どこまで上るのか、かなりきつい坂がある様な事は覚えているが、どんな状況でどんな坂だったのかは覚えていない。ゴルフ場の入り口があった事だけは覚えている。
何回か坂を上り、上り坂ももうそろそろ終わりだろう思っていた。30キロ辺りが頂上だと思っていたので、給水所があってその先の上りが最後だろうと思っていた。その先の下りで終わりだろうと思っていたが、最後にもう一度かなり上っていた。下りは脚に負担が掛かるのであまり無理はしない様にして、ペースを落とした。逆に上りは腿には負担を掛けないので、できるだけ頑張った。上りでは辛い事はあるが、脚に不安は無かった。その急坂を上り切ってしまえば、一気に下り海岸まで出た。
海岸まで出てしまえば残りは10キロ、海が見えてきてやや気持ちも楽になった。しかし残りはまだ10キロ、1時間近くは走らなければならない。こんなにアップダウンがあっただろうかと思うくらい上り下りの繰り返しがあった。残り10キロ辺りではまだまだ脚も残っていたが、35キロ辺りになると次第に脚も動かなくなってきた。速く走ろうがゆっくり走ろうが脚へのダメージは似た様なものだった。最後に余裕があればペースアップをしたいと思っていたが、そんな事ができる状況ではなくただ脚を前に持って行くだけだった。
以前若い頃に河口湖でマラソンを走った。練習のつもりで3時間をだいぶ超えて走ったが、その時は残り5キロくらいからかなりペースを上げて走った。気持ち良く走れた。それと同じ様な事を考えていたのだが、今と昔とでは私の力が違っていた。最後までたどり着く事がやっとの事になってしまった。遠くにゴール近くの電気屋の看板が見えた。まだまだ先は長かった。ラストスパートなどとんでもなかった。
もうそろそろ残りも1キロ、やっと先が見えてきた。沿道の観客もランナーに向かって声援を送っている。こちらはそれに対して感謝するだけである。ある沿道の観客は元気をありがとうとランナーに向かって感謝していた。走らせて貰っているランナーがその沿道の観客に元気を与えていたのだった。そんな力をランナーは持っていたのだった。その言葉に勇気付けられ最後まで頑張って走ろうと思った。久しぶりに応援から力を貰った。
スタートの時に見た風景が見えてきた。何とか無事にゴールができそうだった。もはや無理をしてもしょうがなかった。4時間は切るタイムでゴールできそうだった。沿道から4時間が切れると声が掛かっていた。しかしそれを聞いて4時間に近いタイムなのかとがっかりしてしまった。無理をしない、脚に負担を掛けない走りでやっと4時間を切るタイムだった。
ゴール後は辛くもなく余裕もあった。のんびりとゴール後のもてなしを受けた。さっさと近くの駐車場に止めた車に戻って着替えを済ませた。レース後は鉄人メンバーの定宿で海産物をたっぷり頂き、のんびりとアフターレースを堪能した。いい館山マラソンツアーになった。
(No.608)
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