2014 IRONMAN CAIRNS | |
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2014年6月8日(日) 天候:雨 |
種目:Swim 3.9Km、Bike 180.2Km、Run 42.2Km |
記録:12時間34分01秒 総合752位/1195人、55-59男子33位/56人 |
| Swim | | 1:24:16 (887) | | 1:24:16 (887) |
T1 | 8:15 (783) | 1:32:31 (861) |
Bike | 6:26:59 (864) | 7:59:30 (868) |
T2 | 5:58 (729) | 8:05:28 (859) |
Run | 4:28:33 (578) | 12:34:01 (752) |
| レースデイ | 出発~帰着 |
■6月8日(日)
・レースデイ
--スタート前--
目覚まし時計は4時にセットしておいた。窓の外では雨が降っている。ホテルの窓からは隣の空き地に設けられたバイクラックが見えている。明りに照らされた3,000台ほどのバイクはみな雨にさらされている。雨はやみそうになく、雨の中のレースになりそうだった。
前日の土曜日、バイクの託送、ランギアのセッティングなどを済ませた後に、ケアンズからパームコーブに移動してきた。レース当日の早朝にケアンズから来るのではなく、土曜日にバイクセッティングに来て、そのままパームコーブのコンドミニアムに滞在していた。スイムコースの発表があった後、その移動の事を考えて、すぐにバイクラックに隣接するコンドミニアム、プルマン・パームコーブを予約した。偶然だろうが、その部屋はレースの出場者にとっては最高の場所だった。部屋のすぐ隣がバイクラックだった。全ての状況が部屋から把握できた。
暫く会場の状況を見ながら、朝食の準備を進める。お茶をいれ朝食の餅を焼いた。スペシャル用の食料は前日に作り終わっていた。体調は悪くなさそうだった。この部屋では、天候が雨でもほとんどその影響は無かった。
食事の後に、バイクラックエリアが開場してから、バイクのセッティングに出掛ける。雨でバイクのオイルはすっかり流れていた。雨が降り続く中、気休め程度に改めてチェーンなどにオイルを差しておく。食料をセットするが、全て雨にさらされてしまっている。バイクのセッティングも難なく終えて、スペシャルフードを預けて一度部屋に戻る。スタートまでまだまだ余裕だった。
部屋に戻って来てもまだ6時半頃。スタートは8時近い7時55分。ハーフの選手がそろそろバイクをスタートして行くという時でも、まだ余裕がある。あまり近すぎて、ちょっとのんびりし過ぎてしまい、危うくストリートバッグのコンテナが行ってしまうところだった。それでもスタート時間までまだ20分くらいはあった。スイムスタート場所までも10分も掛からない。
会場のセッティングに1ヶ所問題があった。ストリートバッグの場所からスイム会場へ行くのに、バイクコースを横切る必要があった。それがちょうどバイクラックの出口になっていたため渋滞が起きていた。来年はコース設定の考慮が必要だろう。もう少し早く預けに行く事も考えなければ。
スイム会場へ行ったところで、奈良島夫妻に遭遇した。偶然だった。鉄人のメンバーとは別行動だったらしい。鉄人のメンバーをバイクラックの入口で探したが、誰も見付ける事はできなかった。実際にはホテルの部屋から見ていたのだが。どうも見始めた頃には、作業が終わっていたらしい。だいぶ早くパームコーブに着いていた様だ。
海に入って軽く泳いでみる。昨日の波から比べれば殆ど無い様な状態だった。泳ぐには何の問題も無い。遠くの方をハーフの選手が泳いでいたが、何の問題も無さそうに見えた。
--スイム--
7時45分頃か、プロの男子がスタートして行った。20人もいないくらい。次は女子のプロ。みんな元気がいい。プロがスタートする頃からエイジグルーパーがスタートエリアに入って行く。いつもの様に私のスタート位置は外側の真ん中くらい。ある程度スタートエリアも広いので、混雑は無い。真ん中あたりでも楽に出て行けそうだった。
7時55分、エイジグループのスタートが切られた。雨はそれほど降っていない。岸の辺りでやや波がある程度で、波に押し戻されるという事も無い。最初のコーナーの3つ目のブイを目指して泳ぎ始める。太陽が出ていないので、ゴーグルはクリアのものを用意した。視界は重要である。
外側から出たからか、殆どバトルというものは無かった。たまに泳いでいてぶつかるくらいだった。何の支障も無かった。徐々にブイに近付き、最初のターンをする。やや外側を大回りに回った感じだった。ストレスを感じながら泳ぐよりも、遠回りでもストレス無く泳ぐ方が気持ちがいい。結局周りの人と泳ぐスピードは全く変わっていない。結果的には同じペースの人と泳いでいる事になる。
雨の中のレースは何度かあるが、スイムは雨の方がいいかもしれない。晴れていると上がってきた太陽がまぶしく、難儀をする時がある。視界さえ確保できれば、雨でも全く問題ない。リゾート地と聞いていたが、水がきれいとは聞いていなかった。勝手にきれいな水だと思ってしまっていたのかもしれない。水自体は鎌倉や逗子の海と変わりが無かった。グレートバリアリーフの水ではなかった。
距離の説明は何も無かった。ただ、ハーフと同じコースを使用するために、おおよその距離は計算できる。岸から700m程度の四角形と思っていた。たぶん大きな差は無いだろう。今回のスイムの距離は3.8キロではなく、3.9キロだった。
2周目、最後のブイを回って残りは岸に向かう700m程。最後のブイを通過すれば、もうフィニッシュも近いだろうと思っていたのだが、それ程簡単ではなかった。なかなか岸に近づいていない感じがした。潮の流れかあるいは離岸流でもあるのではないかと思うくらいだった。まだかまだかと思いながら泳いでいた。岸のテントが大きく見え、砂浜に立ち上がった時はほっとした。時計を見るとまだ1時間半にはなっていなかった。それでもほっとしたところだった。
時計のラップを取り、ウェットスーツのジッパーを下げ、前をはだけて楽になる。昨日確認していたバイクラックへの道を通り、バイクラックに向かう。まだ半分くらいはバイクが残っている様に見えた。
--バイク--
昨日から降り続いている雨のために、バイクラックはもちろん着替えテントの中も水たまりだった。泥だらけになるのは必至だった。ウェットを脱ぎ、バイクパンツになる。バイクパンツの下にはランニング用のスパッツもはいている。2枚はいていても膨れる事はなかった。十分だった。バイクシューズを履いてバイクラックに向かう。なるべくぬかるみを避けて行くが結局はどこも同じだった。みんな泥だらけである。
バイクラックを出てようやくバイクスタート。今年はそれ程トランジッションでもたつく事は無かった。早くもないが遅いという事も無いだろう。暫くは海岸沿い、ここでもやはりエスプラネードと言う、を通る。バンプがあったりして滑りやすそうなので、みんな慎重に走っている。まだこんなところで怪我などしたくない。
1キロ程走ったところでようやく国道に出る。一度ケアンズ方面に向かって行き、暫く行ったところでUターンし、ポートダグラスを目指す。もうハーフの選手がケアンズに向かって走っているところだった。クラブのメンバーのひとりは、そのままケアンズの方まで暫く走って行ってしまったらしい。他のメンバーからコース説明をして貰ったにもかかわらず、である。
この先はもう昨年走っているコースである。細かなところまでは記憶に無いが、おおよそのコースイメージは分かっている。アップダウンの具合も覚えている。雨という事もあり、無理はせずマイペースを保つ。
舗装はあまり良くない。コースの半分くらいは荒い路面で、バイク向きではない。DHポジションからハンドルを持つ様に、時々ポジションを変える。後半ではDHポジションを取ると腕が痛くなり、ハンドルポジションに変えざるをえなかった。もう少しポジションの設定を変えてみようと思っている。なかなか決まらないものだ。
ポートダグラスはパームコーブから45キロ程。追い風という事もあって1時間半ほどで着いたか。昨年と同じ様に折り返しには大きなスクリーンが設置されていた。自分の走る姿が映し出されていた。その絵と自分の名前を呼ぶアナウンスに盛り上げられて、再びパームコーブ方面に向かう。
ポートダグラス周辺は街中なので路面も良く走りやすい。やしの木などに囲まれていて気持ちが良い。走って来た道をパームコーブの手前まで30キロ程戻る。
今年のスイムは松岡より速かった。怪我が治ったばかりというのもあって、どれくらい差がついているのかは見当も付かなかった。ただ、昨年のバイクの差から見て、バイクの半分くらいで追い付いて来るのではないかと思っていた。ポートダグラスからの折り返しでは、どこに松岡がいるのかは気が付かなかった。対向者にはあまり気をつかってはいなかった。
もうそろそろ2回目の折り返しも近いという頃、ポートダグラスを折り返してから1時間くらい経っていただろうか、70キロ付近を走っていたと思われる。後ろからすぐ横に並んで来て、私の顔を覗き込む奴がいた。松岡だった。スイムのタイム差を聞くと、5分程度だったらしい。意外に差は付いていなかった。その差でこの場所であれば、私が良く頑張ったというところだろうか。これならバイクゴールでは10分差くらいで済むだろうと予想した。そうであれば、ランでの逆転は容易だろうとも思った。松岡が先に行っても追うような事はせず、マイペースを保った。まずまず気持ちよく走れていた。
2回目の折り返しを回ってから最初のエイドにはスペシャルが置かれている。今回の補給食はおにぎり、羊羹、ジェルそしてジェットストリームボトル用のOS1。あとはその場で飲むレッドブル。雨降りなのでそれ程水分は必要なかったが、預けた分は補給した。
ロードレースを見ていても、選手は常に補給を取っている。それを見習い、私も常に補給を取る様にした。やはりおにぎりがいちばんである。おにぎりは欲しい時にどんどん食べた。今回のおにぎりには、塩タブを1個ずつ入れた。塩分の補給も同時に取れる事になる。次に羊羹、甘さもあって固形物なので、食べたという印象が残る。これも大事である。
2回目のポートダグラスはおよそ110キロ地点。だいぶ走ったという気もするが、あと70キロ残っている。ケアンズまでは70キロあるという事だった。ポートダグラスはケアンズから遠い街だった。ただもう折り返しは無いので、まっすぐケアンズまで向かって行けばよかった。熱海から戸塚に帰る距離だった。
風は南からの風、暑くはない。行きは追い風、帰りは向かい風である。しかし風にさらされるという事はなく、あまり気にはならない。細かなアップダウンの繰り返しの方がきついかも知れない。
パームコーブは150キロ辺り。最初に国道に上がってきたところを通過し、更にその先ケアンズを目指す。残りは30キロ程、熱海から戻って来て、もう大磯まで帰って来た辺り。昨年のバイクゴールはヨーキーズノブというところだった。ケアンズまでは20キロ程。茅ヶ崎まで帰って来た。昨年、ランで走ったコースをそのままバイクでたどっていた。エイドも同じところに設置されていた。ランでは最初のエイドだった。昨年トイレを使っていたので覚えていた。昨年のランでは住宅街を走ったが、今年のバイクではショートカットし、国道に向かった。国道は何となくランで走った様な記憶はあったが、バイクに乗っているのとでは感覚が違う。それぞれの場所の記憶は無かった。
ケアンズの空港が見えてくれば、ケアンズの街ももう少し。大船まで戻ってきた感じである。最後にもう少し、バイクも連なってエスプラネードを走る。エスプラネードではたくさんの観客が迎えてくれる。最後のランを走っているランナーもたくさんいる。このくらいで走っているランナーは、皆速いのが常である。エスプラネードのマックの看板が見えればバイクフィニッシュである。時間的には予定どおりと言えるが、やや遅かったかなという気もする。おおよそスタートから8時間経っていた。ランは4時間のつもりでいる。
--ラン--
久しぶりにケアンズのバイクラックに帰って来た。ケアンズのバイクラックもぐちゃぐちゃ、泥だらけだった。サポートにバイクを預け、ランギアバックを自分でピックアップして着替えに入る。テントの中はそれ程混んでいない。しかし椅子も泥だらけ、少しでもきれいなところを選んで着替えを始める。バイクパンツを脱げばスパッツが出てくる。足は泥だらけ、きれいに拭いて靴下を履きそのままシューズを履く。とりあえずキャップはかぶって出て行く。ゼッケンベルトは頭からかぶったので、片方の止めが切れてしまった。ピンが無いか聞いてみたが、反応は無かった。足元はきれいな状態で出て行きたかったが、出だしから泥だらけだった。あの状態では仕方が無かった。
トランジッションから出て最初にゴール横を通過し桟橋方向に向かって走る。ここでまず周回用のリングを貰う。髪留め用のゴムだろうと思っていたが、アイアンマンのマークの付いたゴムリングだった。1周目の人は何色だったか、今思うと青だった様な気がする。1周目の人は青色のリングを付けて走っていた印象がある。
昨年とは周回コースがだいぶ変わっていた。エスプラネードから入って行って、何キロ走ると戻って来るのか分かっていなかった。1周走ると14キロだという事くらいしか分からなかった。走り出しの部分は昨年と同じだが、昨年折り返したところの先までかなり走らされた。細かな折り返しが2回、パーティ会場のコンベンションセンターの前まで走らされていた。再びエスプラネードまで帰って来るのに4キロ程走らされていた。
そして松岡と最初にすれ違ったのは桟橋の倉庫の辺りだった。タイムのチェックをするのを忘れたが、多分10分程度の差だった。これなら3周目で十分追い付ける距離だった。問題無かった。
キャップをかぶっていたが、暑くて不要だった。雨よけになるかと思っていたのだが、いらなかった。マックの前に応援がいてくれたので、そこに預けて行った。誰もいなければ、背中に入れておけば良かった。キャップが無くなり、快適に走れる様になった。ペースはまずまず、ほぼ練習どおりのスピードで走れていた。4時間ペースだった。
同じエイジで知った顔がいたが、みんな速かった。腕にはバンドが2本あって、既に私より1周多く走っていた。私のバイクが遅かったのだろう。年々遅くなるばかりである。
エスプラネード沿いの公園は昨年も走ったところ。おおよそ様子は分かっている。但し、こちら側でも余計な折り返しが作られている。距離を延ばす為には仕方のないところである。その代り、その折り返し区間は片道1キロ。ランナーには優しい距離である。往復してくれば2キロ走る。ちょうど金井公園の往復と同じ距離だ。松岡と2回目にすれ違ったのはその区間だった。タイムを計ると8分程、だいぶ縮まっていた。キロ当たり30秒くらいの差があった様だ。
空港の手前の折り返しは10キロ地点。マック=ゴール地点までは4キロである。これでおおよそのコースが把握できた。あとは松岡を捉えて最後まで走り続けるだけである。
雨は降り続いており水分の補給はあまり要らない。エイドを1つ飛ばしでも問題ない。不要な水は取らず、コーラで糖分を取るくらいにした。エネルギー不足と思えばジェル、お腹が空けばバナナ、更に口直しにはスイカがあった。ここで提供されるジェルは水の様にサラッとしていて飲みやすい。絞り出すような事をしなくてもいいので楽に飲める。
2周目に入って次に松岡とどこですれ違うかが楽しみだった。桟橋の先、2回折り返しがあるうちの1回目で目の前に見えた。もうその差は殆ど無かった。1周でかなりの差を詰めていた。またもうひとりのクラブメンバーもすぐ目の前にいた。走りに力強さが無かった。こちらも抜くのは時間の問題だった。
自分ではそれ程ペースが落ちているとは思っていなかった。2周目の途中に20キロ地点があるが、2時間程度で走れていた。最初のペースから比べれば落ちているが、それ程の落ち込みは無いだろうと思っていた。止まる事も無かった。暑くもないし、遅くても昨年くらいのタイムでフィニッシュできるつもりでいた。
アイアンマンでは周回のラップタイムなど取らない。ただ前を見て走るだけである。ラップタイムも気にしない。しかし残りも少なくなって、時計を見るとかなり遅い。後ろから追ってくる心配もなかったので、気も緩んでいたのだろうか。知らず知らずのうちにペースは落ちていた様だ。
スタートの時からトイレに行きたかったが、なかなか空いていない。暗くなってから、なるべく人のいないところを選び、空港近くのブッシュで済ませた。1分近くロスタイムがあっただろうか。ロスタイムはその程度だった。
用意したスペシャルは要らなかった。取ろうと思えば3回取れるわけだが、1度も取らなかった。用意したのはジョミとレッドブル。今回のランのエイドにはレッドブルも用意されていた。ケアンズのアイアンマンはワールドワイドになっていた。
最後の空港手前の折り返しを過ぎたのは、既に12時間も過ぎていた。12時間半も切れそうにはなかった。ただ最後までしっかりと走りたかった。沿道からはナイスランと声も掛かった。気持ちは良かった。
アシックスのゲートをくぐり、エスプラネードの大観衆の中を走り抜ける。走り切って嬉しかったと思う瞬間である。大歓声のエスプラネードから公園の中に入ると急に静かになる。最後に右側のフィニッシャーの通路を通ってフィニッシュゲートをくぐる。右に曲がって花道に入ると前には誰も走っていない。私ひとりだけだった。赤いじゅうたんは今年も水に浸かっていた。しかしそれも気持ちが良かった。水しぶきを上げながら走り抜ける。ゆっくりと喜びを感じながら、フィニッシュラインを越えた。長い1日だった。
(No.587)
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