2010 Korea Triathlon Jeju

2010年7月11日 日曜日 天候:雨のち曇り
種目:Bike 180Km、Run 42.2Km
記録:10:54:57 (総合212位 55-59男子6位/40人)
 Bike  6:33:27
T26:216:39:48
Run4:15:09  10:54:57

 ちょっとこれじゃぁ速すぎるだろう。そう思って少しペースを落とした。バイクからランに移り、追い風を背に受けながら気持ち良く走り出したところだった。気になっていた膝には何の障害も無かった。とりあえずは1周を目標に走り出した。

■7月9日(金)戸塚-チェジュ 晴れ
 羽田空港まで行くために大きな荷物を背負い、バイクケースを引いて戸塚駅に向かう。横浜で羽田直行の京急に乗り換える。通勤時間帯の京急には殆ど乗ったことが無く、どんな混雑状況なのか全く分からなかったので、かなり時間に余裕を見ていた。8時過ぎの羽田行きに乗り、到着は8時半過ぎ。羽田の国内線ターミナルから国際線まではバスで移動する。ちょうど9時頃にトライアスリートの集まるターミナルに到着した。関谷、石島、対馬の3人は既に到着していた。

 チェックインの時間まで暫く待機。航空会社も混雑を予想して臨時カウンタを用意し、バイクのチェックインに備えていた。そんな中、ひとり心配顔の石島さん、羽田に送ったはずのバイクが行方不明でまだ着いていないとの事。早くバイクを探し出す様に周りからもきつく申し入れた。10時頃からスムーズにチェックインは始まり、10時半頃には手続きは全て終了。チェジュまでのバイク料金として一律8,100円が徴収された。納得がいかなかったが、仕方なく支払う。

 12時のフライトまでの間、国内線のターミナルビルで軽食を取る。12時発の金浦空港行きは2時過ぎに到着。金浦からは当初予定されていた便から遅れて19時の便、だいぶ待たされた。ツアー会社の配慮で4人はビジネスクラスに乗せてもらえた。待ち時間はラウンジでゆったり。当初の予定からだいぶ遅れて8時過ぎにチェジュ着。バスで中文リゾートへ移動。既にカーボパーティも終了しているので、これもツアー会社の配慮で焼肉の食事が用意されていた。そのあと宿の韓国コンドミニアムへ。

 石島さんのバイクは日が変わる前に所在が分かり、明日の直行便で送られて来る事になった。ひと安心。今日はこれでみんなゆっくり寝られる。

■7月10日(土)チェックイン 曇りのち雨
 朝7時頃スイムに出掛ける。荒れてはいないがやや波が高い。私は少し泳いで終わりにする。10時に10キロほど離れたWCSで受け付けを済ませる。16時から再びWCSで競技説明会。その合間にバイクのセッティングやらレースの準備など。説明会が終わる頃には本降りの雨。レース当日の天気が心配になる。

 宿に帰り最後の準備をして、バイクチェックイン。雨の合間を縫ってトランジッションエリアまでバイクの預託に出掛ける。たまたま雨に降られずに終わったが、帰って来る頃には再び降り出した。明日の朝ごはんの用意などを済ませて9時過ぎには床に就く。雨はずっと降り続いている。

■7月11日(日)レースデイ 雨のち曇り
 3時半に起床。夜中からずっと雨は降り続いている。やむ気配は無い。朝食は餅を各々3個分くらいを焼いて食べる。あとは補給食用で残ったおにぎりで十分。5時には受付ができるようにバイクボトル、バイク、ランのスペシャルなど補給食の用意を持って宿を出る。雨は一時的に上がっていたが、海は波が高く荒れていた。私は泳いでも構わないと思っていたが、たぶんスイムは中止だろうと思った。ナンバリングとバイクのセッティングを終え、一度宿に戻る。

 6時過ぎにウェットスーツを着て会場まで出掛ける。まだスイムキャンセルの案内は出ていない。早く結論を出せばいいのにと内心思う。6時の大会開催決定は6時半に先送りになっていた。海岸まで降りて見ると波乗りには良さそうな白波が打ち寄せている。選手は心配そうにおとなしく海を見ているだけ。いつになったら決定するのか、早く決めてしまえばいいものを。私は泳ぐつもりで砂浜に出て行く。しかし、海に入ろうとしたところで係員に止められた。

 7時少し前、事務局よりスイム中止が発表された。前回私が出場した2006年と同様、8時にプロからスタートし、その後ゼッケンの大きい順にエイジグループがスタートする事になった。苦労して着込んだウェットスーツを脱ぎ、トランジッションバッグを貰ってバイクウェアに着替える。私のスタート時刻は8時5分頃。それまでまだまだ時間がある。軽くウォームアップを済ませてあとは待つだけ。昨日までビールを飲みすぎたからか、あるいは冷えか、小便が良く出る。何回もトイレに行く。レース中の事が思いやられた。お腹が空いてきたのでエイドでバナナを貰う。これ以上水分は取らない様にした。

 8時、ゼッケン1番パク選手から出て行く。あとは次々に出て行く。私達はバイクを持って列に並ぶ。バイクにまたがり、ペダルをセット。係員の合図でスタートする。ストップウォッチをセットしていたが、バイクスタートだけに気をとられスタートさせるのを忘れていた。かなり後になってスタートしていない事に気が付いた。

 まずはいきなりの上りを回転数を上げて上って行く。心拍数を上げ、体と気持ちをレースモードにする。風は西から、最初は速い。トランジッションエリアの駐車場から上の道路まで上ってから島の東側へ向かう。追い風で速い。気持ち良く飛ばす。WCSあたりは道路も良く快適。まわりから置いて行かれない様に付いて行く。いくつかの街を通過し見覚えのある海辺の街まで来る。暫くは追い風に乗り気持ち良く通り過ぎる。

 60キロあたりまで来たところでようやく追い風とは分かれて逆向きの風となり、徐々に上りの勾配に変わっていく。この辺りまでまだ2時間は掛かっていなかった。既にコースの3分の1、あっという間に来てしまった気がした。少しずつ標高が上がり始める。今までとは変わり、スピードは上がらない。

 スペシャルエイドまでもう少し、90キロの手前あたりで大集団が追い付き、追い越して行った。その先頭を引いている姿が似ていたので後ろから声を掛けると、やはり能勢氏。ガンガン引いているという感じ、さすがに速い。私もしばらくは集団の後に付いて走る。しかしすぐにマーシャルがやって来て集団は分解された。能勢氏は見えなくなってしまった。

 前回出場した時は、中間点のスペシャルエイドまでが長く感じたが、今回はハイスピード区間があったからか、それほど苦労無くたどり着いた。スペシャルバッグを貰い、とりあえず停車。トイレを済ませて、レッドブルを一気に飲み干す。あとは大き目のおにぎり2個。今回の補給は十分だった。気温は高くないが水分はこまめに取った。その為か、この先何回か停車し、用を足すことになる。

 例の急坂はどこだっけ。100キロ過ぎだった様な気がしていたが、既に110キロあたりまで来ているのに坂は現れない。コースが変わったかななどといい様に思っていると、広い4車線の急坂が現れた。これこれと思いつつも、きついと思いながら上る。前回よりフロントギアは小さくなったにもかかわらず辛い。仕方なく蛇行しながら上って行く。前回も蛇行して上ったと記録にあった。たくさんの日本人応援団が嬉しい。

 ここからアップダウンの繰り返しが始まる。チェジュ版伊豆スカイラインの始まりである。そして霧に包まれていく。コースは全く見えない。前にバイクがいれば、それに付いて行けばいいのだが、すぐに離されてしまう。仕方なくひとりで淡々と上る。路肩の白いラインと中央の黄色いラインが頼りだ。コース上で記憶に残っている場所も出てくる。前方が見えていれば更にきつさが増してくるだろうにと思いつつも、霧で視界の悪いコースに苦労しながら、淡々と上る。

 上りのピークは約130キロ地点。メーターで130キロを過ぎても暫く上り続け、やっと下りに移る。下りとなっても霧は晴れない。どこまでこれが続くのだろうかと思いつつ、スピードが出せない事を恨めしく思う。私のバイクは構造上後ろのブレーキの利きが悪く、そこにカーボンホイール更に雨という天候で殆ど後ろのブレーキは利かない。白線を頼りにしながら、注意して下るしかない。

 勾配もだいぶ緩やかになってきたところで視界も開けてきた。まだまだ下り、前の選手に離されない様にくらい付く。ここでは新しい機材の効果は大きい。下り終わって左折、暫くは気持ち良く走っているが、風向きが変わってくる。アップダウンも繰り返し、またまたスピードは上がらなくなる。

 交通標識の距離表示はあるものの、ハングルでは読めない。中文までどれ位か、まだまだ先は長そう。一般道路のアップダウンをやり過ごし、見慣れた風景が現れて来るとハイウェーに出る。ここでは追い風更に下り気味で速い。一気に中文の街を通り過ぎ、ランコース上に出る。まだそれほどランナーは走っていない。私の位置はどれ位だろうかと気になり出す。

 バイクを降りてトランジット。バイクでは殆どひざの痛みは忘れていた。しかし、ランでどれ位走れるか分からない。全てのウェアをラン用に着替え、左ひざにはしっかりとテーピングをする。これで行けるところまで行くしかない。着替えの袋を預け、脚の様子を見ながらそっと走り出す。何の違和感も無い。まずはひと安心。

 ランコースに出てからは、体の思うままに走り出す。背後から風を受けて気持ち良く走れる。何のためらいも無く走る。気持ちのいいペースまでスピードは上がっていった。そこで我に返る。いくらなんでも42キロを走るにはこのペースでは速すぎるだろう。そう思って少々ペースを落とした。

 この先左ひざがどうなるか分からない。とりあえずこの先の折り返しまで、そして次の折り返しまで、そしてまず1周は走ろう。棄権は覚悟のつもり。最初はゆるやかな下り、特に違和感は無い。折り返してどうなるか。膝をひねると痛みが出るはず。折り返しはゆっくり大きく回ってひざへの負担は掛けない。問題無い。それならば、次の折り返しまで真っすぐ走るだけ。この走りの感覚、久しぶりに感じた。今日は久々に気持ちのいい走りができている。4時間も切れるかな、そんな思いも頭をよぎる。西に向かう時は向かい風、前からの風が気持ちいい。

 2回目の折り返しは7キロを過ぎたところ。こちら側でも無理には折り返さない。大きく回って周回チェックのブザーが鳴るのを確認する。アップダウンを繰り返すこのコース、順調に走れている。路上に書かれた10キロの表示地点は56分台で通過した。まずまずのタイムと気を良くする。

 1周目はとりあえず様子見。先行するライバル、後ろから来る同エイジをチェックする。レースナンバーが740~780番までの55-59エイジをチェックする限り、それほど遅い方ではない。3~4番という感じだった。ただ後ろからもどんどん追って来ていた。気は抜けなかった。1周を回ってきても脚は問題なかった。

 次の目標は2周目を走りきることだった。膝が痛ければ2周でやめてもいいと思っていた。2周目に入っても、レースに対する気持ちは変わっていない。淡々と走る。1周目で私を勢い良く抜いて行った同エイジのランナーが2周目に入って、その足が止まっていた。それを難なくパスする。いつも彼にはランで抜かれている。バイクまでは勝っているがランで抜かれている。

 ややペースが落ちたものの、2周目も無事走りきる。このままゴールまで行けそうである。ゴール入り口の先では、用意したスペシャルニーズバッグをピックアップ。レッドブル、バームゼリーなど走りに効果のありそうな物を補給する。ちょうどWCSのゴール前、前方にビーンを発見。どう見ても走っている格好ではない。年寄りが背中を曲げて歩いている様だった。後ろから抜き際に『渇』を入れる。私も彼から勢いを貰った。

 2周目に抜いた同エイジランナーが勢いを吹き返し、走って来るのが見えた。まだ1キロ以上は差が開いている。彼だけには抜かれまいと頑張るつもりだった。3周目もコースの中間くらいまで行けば、残りは10キロを切ってくる。4時間そこそこくらいでは走れそうだった。しかし時計はほとんど気にしない。3周目、次々とランナーがゴールに向かっている。かの能勢氏ももうすぐゴール。

 最後の折り返しの後、あのランナーが迫る。ゼッケンは775、私と1番違い。私より3秒遅くスタートしている。彼より3秒以上早くゴールしないと私は勝てない。すぐ後ろまで迫ってきていた。私は負けない、そう思って走り続ける。しかしペースの差には勝てず、残り6キロあたりで抜き返される。付いて行こうとするが、どんどん差をつけられる。相手も必死な様だった。こちらは、『止まれ、止まれ』と念じる。残りは5キロ足らず、もうエイドなど必要ない。脚の痛みも無視する。走り終わった後の脚はその後で考えればいい。前だけをしっかり見て追った。

 エイドを1つパス、2つパス。相手はエイドで補給している。その度に差は再び詰まる。止まれ、止まれ、エイドで抜き去る。それがいちばんだった。3つ目のエイド、長い休みを取っていた。追い抜けるかと思ったが、その前に走り出していた。しかし明らかにペースは落ちていた。思っていたとおりになった。横のスペースを開け、距離を保って再び抜き去る。しかし相手もたいしたもの。私に気付きペースを上げて追い付いて来た。更にペースを上げ勢い良く抜いて行く。私は付いて行くしかないと思ったが、スピードが違いすぎた。もう残りも2キロを切っていた。力の限りの走りだった。最後の5キロ、エイドには寄らず懸命に追った。1分半の差がついていた。

 最後まで頑張ってフィニッシュ。これ以上脚は動かなかった。かの能勢氏がゴールの先で待っていてくれたのが嬉しかった。

■7月12日(月)アワードパーティ 曇りのち雨
 今朝は晴れている。昨日こんな天気だったらと恨めしく思う。疲れた体ではぐっすり眠れなかった。いつの間にか朝になっていた。部屋の相方達が朝早くからガサゴソ、早くもビールを飲んでいる。レースの終わった朝だから許されるか。私の用意していたビールが飲まれてしまっていた。

 ハワイのクォリファイは朝10時から、ICCの401号室。ひょっとしたら、の可能性もあるのでパスポートと$550を持って出掛ける。しかし、残念ながら奇跡は無かった。ハワイ・クォリファイの雰囲気を楽しんだ。

 12時からICCでアワードパーティ、2時まで。昼過ぎ、いつの間にかまた雨が降り出していた。宿のベランダに干していたウェアはみんなずぶ濡れ。外出することもできず、仕方なくバイクのパッキングを始める。買い物にも出られず、ビール三昧。夕食は近くの韓国料理店で焼肉。今日は控える事無くたらふく食べる。宿に帰っても夜遅くまでビールとマッコリ。酒浸りの1日だった。

■7月13日(火)チェジュ-戸塚 雨
 今日も朝から雨。何もする事も無く朝からビール。食事は各自勝手にコンビニで調達してきて気ままに食べる。その合間もずっとビール。雨の中、土産物を買いに中文の街に出掛ける。昼食は街で韓国風鍋。ここでもビールとマッコリ。たくさん食べてたくさん飲んだ。

 帰りのフライトは夕方6時。午後2時半にバスでコンドミニアムを出発。手続きもスムーズに進み、4時にはチェックインも終了。あとは出発までの間、買い物とビール。6時に飛び立った飛行機は8時には成田に着陸。戸塚までNEX、その日のうちには自宅に到着。なんとか無事に帰り着いた。

 雨ばかりの韓国ツアーだった。やや不完全燃焼でした。

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ツアー代93,000円(ホスピタリティーツアーズ)
レースエントリー50,000円
航空機バイク輸送費10,000円
国内バイク宅配便3,000円
韓国現金(44万W)40,000円
国内運賃5,000円
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 合  計約20万円


  
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