25th SUBARU Ironman Canada

2007年8月26日 日曜日 天候:晴れ
種目:Swim 3.8Km、Bike 180Km、Run 42.2Km
記録:12:00:56 (総合 850位/2445人 男子50-54歳 51位/177人)
 swim    1:17:47            (1303位)
 T1         7:20   1:25:07
 bike    6:17:16   7:42:23  (1133位)
 T2         4:38   7:47:01
 run     4:13:55  12:00:56  (622位)


 あれぇー、12時間過ぎちゃったなぁ、どうしてだろう?? それが本音だった。でもまぁ、今日の走りなら仕方が無いか。十分な結果だろう。
 ゴール手前100m程で既に時計は12時間を過ぎていた。満足できる結果ではないけれども、途中の経過では少なくとも12時間は切るつもりでいた。ハワイの大会を除けば、今までフィニッシュタイムはなんとか12時間を切れていた。そのつもりで今回も12時間は切れるつもりでいた。だんだん12時間に近づいているけれども、今年3月のnzでもなんとか12時間は切っていた。しかし、ついにそのときが来てしまった。どこが悪かったのか、自分では良く分からないけれども、今日は12時間を切ることができなかった。しかし、そんな事はどうでも良いと思わせるくらいカナダの自然は大きかった。雄大で素晴らしい自然のなか、レースを十分に楽しむことができた。

8月23日(木) 出発~ペンティクトン着
 成田発は19時のエア・カナダ。1時過ぎの電車で戸塚を出る。今日は孫が成田まで見送りに来てくれた。各地からカナダに向かうトライアスリート6人、安川と共にチェックインを済ませ、ac4便でバンクーバーに向かった。現地到着は昼の12時。目的地は更に小型機で45分程のペンティクトン。バンクーバーで3時間ほど待たされる。バイクや手荷物を国内線に預け直すのに一苦労する。残念ながら、空港ロビーでビールを飲める場所は見当たらなかったので、コーヒーで我慢する。4時少し前の便に乗り、ペンティクトンの街には5時頃に到着。

 宿で荷を解いた後、街に出掛けて食料などを買い込む。アイアンマン・エキスポは会場が分からず行けなかった。夕食は宿の近くのデニーズで、折角来たのだからと、大きなステーキを食べる。みんなで行ったハワイのデニーズと殆ど同じだった。現地での初めての支払いに少々戸惑ってしまった。

8月24日(金) レジストレーション、ウェルカム・パーティ
 1日遅れてバイクが到着。10時、昨日来た人達でまとまって登録会場に出掛ける。既に長い行列ができていた。登録を済ませた後は、いつもの様にエキスポでアイアンマン・グッズを買い込む。バイクジャージ、tシャツとマグカップ。今年は25周年なので、それなりのデザインがなされている。他には、いつもと同じ写真セットを予約。どこの国に行っても値段は$99。でもカナダの写真立ては立派だった。ひと通り見終わった後は、ペンティクトンの街を散策。交差点の角にいた屋台のハンバーガーで腹を満たす。その後はバイクショップのバイクバーンを覗いて、目ぼしい物を探す。ジャージなどは結構いい値段が付いていた。最後に昨日と同じフードショップでお買い物。

 宿に戻って来てから、1時間ほど川のほとりを安川とジョギング。パーティの時間を勘違いしていて、奥村さんに言われて慌てて出掛けた。場所は宿の近くのコンベンション・センター。広い会場も3,000人以上は入りきらないらしく、遅く行った私達は屋外のテーブルに着いた。天気も良く開放的で気持ちが良かった。パーティと共に競技説明会も行われた。夜にはレースギアの準備をする。

 予定では夜9時頃にはバンクーバーからバスで松野が到着する事になっていた。最初は携帯電話への掛け方が分からず連絡が取れなかったが、なんとか電話を掛ける事ができ、連絡が付いた。バスが遅れたため、2時間ほど遅い11時、松野が到着した。8時間以上掛かった様だ。その夜は久しぶりの再会に話が弾んだ。

8月25日(土) バイク&レースギア・チェックイン
 7時過ぎに宿の前の湖で泳ぐ。やや水温は冷たい感じ。nzとほぼ変わらない水温だった。泳いでいて特に気になる様な事は無かったが、岸に上がってからが寒かった。明日は大丈夫だろうかと心配になった。

 いつもと同じハム、チーズのサンドイッチとコーヒーで朝食を済ませた後、安川と私は軽く1時間ほどサイクリングに出掛けた。隣の湖のスカハ湖まで行って戻って来た。その後3人でエキスポに出掛ける。松野の勧めで、安売りしていたタイツを買ってしまった。昼食には街のレストランで本格的なハンバーガーを食べた。アメリカ人もカナダ人も食べるものは同じ、ボリュームが凄い。

 宿に戻ってから、バイクとレースギアのチェックインのために、再び会場へ出掛けた。レースギアを預けた後は、街の中心部でパレードがあった。1時間ほどで終了した。これで今日の予定は終了。あとはレースを迎えるだけになった。

 夕食は宿の近くの日本料理店でご飯を食べる。やはりレース前はご飯がいい。9時前には床に就く。珍しくなかなか寝付けず何度も目が覚めてしまった。しかし意識はあっても目をつむって寝ていた。そのうちに眠りに落ちてしまった様だった。

8月26日(日) レース当日
 3時半に目覚ましが鳴る。まず起きて外の様子を見る。雨の予報が出ていたが心配ない様だった。やや雲が出ているものの、星も見えていた。風も無く絶好のレース日和の様だった。

 4時45分、ナンバリングとレース準備の為に会場へ向かう。暗い中、まだまだ人はまばら。さっさと準備も終わり、5時45分には再び宿に戻って来た。ウェットを着込み、今度はスタート準備をして会場へ向かう。松野がサポートとして付いて来てくれた。スイム・スタート地点へは少し遠回りしないと入れてくれない。既にスタート準備に入っている選手がたくさんいる。観客もスタート地点周辺にたくさんいる。ウェットを着込んでいる私はそのままトランジッション・エリアへ入る。安川は松野にウェットを着させて貰う。そこで2人は健闘を誓って分かれた。

 私はスイム・スタート地点の一番左側、外側に向かった。左側はバトルを避けたいと思っている人達か、そういう人が多く集まっていた。余計に混雑していた。それを見込んで前列に入る。軽くウォームアップ、調子も悪くない様に感じた。6時45分、プロの選手がエイジカテゴリーよりも15分早く出て行く。プロのスイムの列は直ぐに1列になった。それをのんびり見ている訳にもいかず、再び水に入り、2度目のアップを済ませる。

 7時ちょうど、再び大砲の合図でエイジグループのスタートが切られた。前にいる選手が出て行くのを待って、私もスタートする。岸の近くはまだ浅い為に、殆どの選手が歩いている。数10m行った辺りで泳ぎ始める。隣ではまだ歩いている。その横を私は泳いでいた。目標はたくさん並んだブイの、一番先のコーナーのブイ。とりえずは左側からコーナーを目指して泳いで行く。バトルなどは無い。少し前にいるスイマーを目標にして気持ち良く泳ぐ。私のラインが多少左右にずれるのは仕方ない。時折右に軌道を修正する。

 水はそれほどきれいと言うわけではなく、少々緑色がかった様に見える。特に魚などが見えるわけでもなく、南の島の様な楽しさは無い。対岸に近づいてコーナーも近くなると底も見えてきた。だいぶ対岸まで近づいた様だった。最初のコーナーを右に曲がる。そこからコースは少しずつ岸から離れて行くような感じ。私はいつの間にかまたブイから離れて行く。少しずつ修正をするが、なかなか最短距離という訳にはいかない。

 2番目のコーナーを回ると目指すはゴール。しかしまだ先は長い。1,800mほどある。やっと半分終わったあたりか。いつも体の左側が痛くなるので予防するような泳ぎを時折入れた。その為か、今回は痛くなる様な事は無かった。直線の最後でもどんどん左へずれていた。右に向かっているつもりでもブイから離れて行ってしまった。

 コースの真ん中あたりに来た頃か、うねりや波を感じた。風が出てきたのだろうか、海ほどではないが、湖が荒れて来た様だった。しかし海の荒れ様から比べればたいした事はない。どうって事はなかった。うねりより左にずれて行く方が大変だった。ヘッドアップするとゴール地点の先にあるレイクサイドホテルが正面に見える。ちょうどハワイのキンカメの様な位置になる。何となくハワイを思わせる。スイムのスタート地点も似ている。コナよりは広いが、砂浜が弓なりになっていてコナのスタート地点を思わせる。正面のホテルがだんだん大きくなり、ゴールに近づいて来た。湖底も見えてくる。砂浜の近くは大きな石がたくさん有って歩きにくいので、仕方なくなるべく岸の近くまで泳いだ。

 岸は砂浜、ゴールした人が歩いて荒れた浜をならすボランティアまでいる。運営も慣れたものである。感心する。正面の時計は1時間17分を過ぎたところ。すぐ後ろに安川が居るなどとは思ってもいなかった。ゴールゲートをくぐり、正面にウェットスーツ・リムーバーが並んでいる。私の場合は2ピースなので、まず上を脱がして貰い、その勢いで芝生の上に寝転がる。足を突き出して下を脱がせて貰う。パンツが脱げない様に気を付ける。脱がせて貰ったウェットを持ち、トランジッション・バッグを貰って更衣室に入る。バイクジャージを着た後は、ゆっくり椅子に座り、スタートの準備をする。空いているトイレを探して用を足してバイクに向かう。すぐ近くにある安川のバイクを探したが見つからなかった。既にスタートしていた。

 バイクゲートを通り、乗車位置まで移動。大歓声のなか、スタートして行く。とても気持ちがいい。トライアスロンの喜びを感じる。寒さが予想されたが、それほどでもなかった。用意したアームカバーは要らなかった。何のトラブルも無くスイムも終わり、バイクは気持ちよくスタートできた。メインストリートは少し上っているがたいした事はない。街を抜けてしまえば、次の湖までずっと下って行く。かなりの高速コース。周囲にはバイクがたくさんいる。ドラフティングに近い様な状態にもなってしまう。なるべく気を付ける。

 スカハ湖に出てやや平坦なコースが続く。10キロほどのところでマーシャルに止められている選手がいた。見覚えのあるバイクジャージ、安川だった。あごひもを直しているので、どうやらヘルメットを注意されていたようだ。あごひもが緩かったらしい。安川の横を通り過ぎる。声を掛けるわけにはいかなかった。

 スカハ湖から山側に向かい最初の登りが始まる。結構勾配もきつい。いきなりインナー、ローに入る。まだ先も長いので無理はしない。マイペースで行く事にする。最初の登りが終わってしまうと、あとはずっと下り基調のコースが続いた。両脇は山に囲まれ、その間を下って行く。どこまでも下って行く様な気がした。ペースは速い。こんなコースならやはりディープリムが欲しいところ。少しは速くなるかな、などと無いものの事を考えながら走った。少し両側が開けてくると、道路の両脇には果樹園が広がっている。リンゴの様だった。松野が土曜日の朝市で買って来た様なリンゴがなっていた。

 2回目の坂に取り付く前、50キロを過ぎた辺りだったか、後ろから声を掛けられた。快調そうな安川だった。前を行く大柄でスマートな女性を追いかけて来たらしい。私を抜いて行ったその女性と共に安川も先行してしまった。2番目の坂は、小さな街を過ぎてから始まった。右折した後、少しずつ上って峠に向かう。バイクに貼り付けたコース図を見ると、この辺りからこのコース一番の坂が始まる。これもじっと我慢してマイペースで行くしかない。いつも練習で上る坂から比べれば楽な方かもしれない。ただ周りが広すぎる。大きすぎて日本のイメージとはちょっと違う。じっくりと坂を上る。途中、同じツアーの日本人を抜く。彼は小径のバイクに乗っている。よくこんなバイクでトライアスロンに出るものだと思って感心する。ショック吸収も付いていて、パワーロスが大きい様な気がした。次に目の前に安川も見えて来た。追い付きそうでなかなか追い付かない。なかなかしぶとい。

 ピークまで行くと、しばらく下りが続く。上りでは追い付かなかったけれど、下りに入ってから安川に追い付き抜き去る。ここもスピードが上がっていて、声を掛ける訳にはいかなかった。気持ち良く下りを飛ばして行く。下りは早い。長い時間かけて上ったところをあっと言う間に下ってしまう。この下りが終わると、次のピークまで少しずつであるが上っている。

 坂を下りきった辺りは、再び両側が山間のコース。ここも両脇に果樹園が広がっている。ここはリンゴではなく桃やブドウなどを栽培している様だった。110キロあたりから120キロまでは、距離の調整用の折り返し区間。約10キロを逆戻りして距離をかせぐ。120キロ地点が折り返し場所で、バイクスペシャルを受け取ることができる。今回のスペシャルには、どら焼き、ういろう、それにパワージェル。パワージェルは殆どのエイドで貰ったので、自分のものは消費しなかった。涼しいせいもあり、食欲も旺盛で、ハンガーノックの心配はなかった。おにぎりやういろうはたくさん食べた。甘いどら焼きはあまりいらなかった。半分食べて捨てた。塩タブもよく摂った。チューブに入ったねり梅はほんの少しだけ食べた。

 そして最後に再び一級の山岳が待っている。序盤に下りだった様なコースを今度は少しずつ上って行く。ここでも安川との順位の入れ替わりが何回かあった。気持ち良く坂を上っていると、後ろから声を掛けられ、先行される。最後のイエローレイクへの上りはペンティクトンから近いせいもあり、応援がたくさんいた。車の渋滞が続いていた。どういう訳だろうかと坂を上って行くと、応援の列がコースの左右に広がり、道路を完全に塞いでいた。バイクの走路の両側から、ツールほどでは無いけれど、たくさんの応援、声援を貰った。バイクは1列になって上っていた。気持ちのいいものだった。

 右側に湖が見えてくると、下りももうすぐ、イエローレイクの標識が出ていた。2回目の下りはまた気持ちがいい。景色のいい中、ダイナミックに下る。スカハ湖まで一気に下って行く。スカハ湖の先に街並みが見えて来れば、ゴールまでもう少し、10キロも無い。オカナガン湖に向かうところに丘がひとつ。走るには少々長く感じるけれど、バイクならばほんの少しの時間だ。勾配もそれほどきつくない。それを上りきってしまえば、オカナガン湖畔のバイクゴール、トランジッションまでもすぐだ。

 メインストリートの両脇には応援がたくさんいる。既にランナーもたくさん走っている。その中をゴール目指して走る。途中何回かストレッチをしたが、腰が痛くなる様な事は無かった。少々時間が掛かりすぎた様な気がするが、まずまずのバイクだった。安川は私より先にゴールしているはずだった。バイクをスタートしたところに戻り、バイクを預け、今度はランのトランジッション・バッグを貰って更衣テントに入る。テントの中に安川は見あたらなかった。いつもと同じ準備をしてランをスタートする。トランジッション・バッグを預けて、スタート計測地点へ向かって行ったところで、目の前に安川がいた。安川はトイレに向かい、私が先にランをスタートした。

 ランは、これも距離調整か、あるいはハワイのコースをイメージしているのか、一度湖畔を、反対側に走る。最初の折り返しは、ちょうど私達の宿の前。そこに松野の姿を見つけた。こちらから声を掛けて、折り返して来たところで写真撮影。安川もすぐ後ろに来ているはずだった。トイレの時間だけなので、それほど離れていなかった。走ってきたコースを戻り、今度はメインストリートを通って、バイクのコースを再びたどって、スカハ湖へ向かう。

 ランコースはバイクで山道へそれた所までは全く同じ。自分ではフラットだと思っていた。最初の緩やかな上りは距離も短く気にならなかった。湖までは下っているので気持ち良く走れる。湖畔はフラットなのでそこでも気持ち良く走れた。エイドも1マイル毎にあるので、必要な物はすぐに貰える。最初のうちに摂れる物はどんどん摂っていくつもりでいた。コーラ、パワージェル、これだけで走りきれるつもりでいた。空気が乾燥しているのは計算に無かった。唇はどんどんカサカサになっていった。日焼けの影響もあったのかもしれない。

 バイクで通ったコースが15キロほど。その後も、湖岸のコースを走るが、結構アップダウンが繰り返された。自分ではまずまずのペースで走れていたつもり、折り返し点でのラップは2時間と少し、まずまず。これから残り半分、同じペースとは行かないものの、4時間と少しくらいでフィニッシュできるつもりでいた。折り返してすぐに、昔、オロロンで一緒に走った女性とすれ違った。彼女は最近、夫婦で毎年カナダに参加している。いいペースで走っていた。抜かれたくはなかったが、しばらくしたら追い付いて来た。しばらくは、エイドをはさんで前後を走る事を繰り返していたが、そのうちに前に行って見えなくなってしまった。

 安川とはすれ違った時点で10分近く離れていた。スタートがほぼ同時で、ハーフを終わったところでこれだけ差が付いていたので、このまま更に差が開いていくものだろうと思っていた。特に緊張感の無いまま、流れに身を任せ、気持ち良くという訳にはいかないけれど、無理しない程度のペースで走っていた。1マイル毎のエイドは心強く、お腹が空いたり、喉が渇いたりすれば、好みの物を貰うことができた。

 朝のトイレで出具合が良くなかったのが気になっていたのだが、だんだん腹にガスが溜まって来ていた。前に走る勢いをつけるように、少しずつ勢い良く出ていた。エイドで何度かトイレに行ったが、塞がっていたので、次を目指した。空いていたトイレを見つけ、やっと溜まっていたものを出しきって、気持ち良く走れる様になったのは、30キロ地点あたりだったか、何番目のエイドだったのか、場所はあまりよく覚えていない。

 エイドが来る度に残りのマイル数も減っていき、だんだん先も見えるようになって来た。35キロあたりになれば、ゴール時間もわかって来る。少しずつペースを上げて、12時間は切れるくらいのペースを維持していた。残りの距離も減って、ペースもだいぶ上がった。

 湖を過ぎてしまうと、街に入る。湖に向かって下っている道を、上って行かなければならない。往きは楽だったが、帰りはつらい。いくら走っても丘のピークに達しない。ひとつ越したと思っても、まだ先があった。しかし残りも数マイル、頑張れない距離ではない。バイクとランで何度か通ったコース、見覚えのある道を通って、そろそろペンティクトンの街並みも見えてくる。オカナガン湖へ向かう道は緩やかに下っているので、走るにはつらくない。応援が増えてきた中を、凱旋の如く走って行く。それまでより応援も多く、元気が出てくる。まっすぐ湖に出ず、一度左折する。その手前に40キロ地点の表示があった。時計を見るとまだ11時間40分台後半。これなら十分に12時間を切れるつもりでいた。ランで4時間は切れなかったが、なんとかトータルでは11時間台でゴールできるだろうというつもりでいた。

 40キロ過ぎの角を曲がったあたりで、私の名前を呼ぶ様な気がした。松野だった。てっきりゴール付近にいるものと思っていたが、意外なところにいてビックリした。声を掛けられて嬉しかった。あと2キロほど、10分少々でゴールと思っていた。スタートの時に通ったコースを宿の方へ向かい、そしてフィニッシュ。もう少しだと思っていた。ゴールしてから聞いた話では、往きに宿の前で折り返していたところが、最後の折り返しは、更に先まで行ってからの折り返しになっていたらしい。自分でも宿の前を通った後、こんなに走ったかなぁ、と思いながら走っていた。

 最後の折り返しを回り、時計を見た時、もう残りは2分ほどしか無かった。ゴールまでまだ500mくらいは残っていた。おかしいなぁと思いつつ、辛かったレースを振り返りながら、みんなに感謝し、自分を褒めてフィニッシュゲートをくぐった。12時間を少しだけオーバーしていた。

8月27日(月) アワード・パーティ
 10時過ぎから最後の盛り上がりを見に行き、12時過ぎには打ち上げ花火をみて帰って来た。その後はベッドの上でそのまま寝てしまっていた。起きたのは8時近かった。久しぶりに熟睡できた。体中がまだバリバリに痛い。ゆっくり朝食を取った後、仕方なくバイクを片付ける。11時にはバイクケースを引き取りに来る。バイクはこのまま日本に行ってしまう。

 松野は昨日走れなかった分、川沿いのランニングに出掛けていった。松野は12時半のバスで帰るので、昼食を取りがてら、見送りに行く事にした。松野のお勧めのファースト・フード店でサンドイッチを食べる。12時過ぎに街外れのバスターミナルに向かう。バンクーバー行きのバスの運転手は日本やチェジュのアイアンマンに来るウィットさんに似ていた。松野はそのバスに乗って帰って行った。

 アワード・パーティは5時半から。ウェルカム・パーティの二の舞にならない様に、少し早めに出掛けた。それほど列に並んでいる様にも見えなかったが、室内に入るには、別に配っているバンドがいるらしかった。結局そのバンドを貰うことができず、またまた屋外の会場に回されてしまった。日本人で唯一、元有名実業団陸上部の選手がエイジ2位に入賞していたので、室内に表彰式を見に行く。簡単ではあるけれども、アイアンマン風の立派な表彰式だった。

 これで公式行事は全て終了。どういう手筈だったのか、出場者に配られる筈のdvdが準備出来ていず、手元に貰うことができなかった。

8月28日(火) 帰国
 朝からいい天気だった。7時半に迎えのタクシーが来た。分乗してペンティクトン空港へ向かう。同じ便には優勝したnzのdoe選手も乗った。空港職員から紹介があり、最初の乗客になった。ペンティクトンから飛行機に乗ってしまえばあとは日本に帰るだけ。バンクーバー経由で日本に帰国し、カナダツアーは終了した。涼しくて過ごしやすい国、カナダだった。いい避暑ができた。


  
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