1998年 横浜箱根湯本ラン60キロ

1998年10月25日(日) 晴れ

◆10月走り込み
 前半から中盤にかけては、予定どおり。週におよそ110キロ前後で、3週間では、330キロ程走った。次週末に湯本60キロを控え、日曜日に20キロほど走る。その前から、左ひざ、右足首にやや張りがあった。気になっていたが、走ると違和感は無くなり、意識からは消えていた。週明けにその右足に痛みが出ていた。やはり走り過ぎらしい。その週は無理しない程度に走るが、やはり痛みはひかない。4週目は80キロ程度しか走れなかった。走り込みの仕上げとして位置づけていた湯本60キロにやや不安が残る。

■10月24日(土)
 私には都合良く、雨のため翌日に延期。丸1日休息し、足はだいぶ良くなる。

■10月25日(日)
 湯本60キロ当日。快晴、絶好のロングラン日和。心配された足は軽い。マラソンのような準備もせず、軽く朝食。走りながらコンビニで補給できると思い、軽い気持ちで出かける。前日までは、どこまで走れるか、どこで電車に乗るか心配していたが、その心配も消えていた。

 中央郵便局前にはだいぶ早く到着。ちょうど宇都宮さんが走ってきたところ。スタートは予想どおり30分遅れの7時半。とりあえず最初の目標は、いつもの10キロ先のヤマザキのコンビニ。10キロ毎にコンビニ休憩を取るつもりでいた。最初は予定どおりキロ6分、ちょうど1時間。6~7分の休憩でスタート。足首はやや重く、違和感がある程度で痛みはない。念のため、テーピングだけはしていた。トップ集団は、休憩もせずコンビニを素通り。私は第2集団にやや遅れスタート。しばらくして追いつく。藤沢までは、先週走っており、バイクでもよく来る、いわば地元、地理だけは詳しい。

 藤沢の街を通過する際、ちょうど湘南100キロの折り返し点のパン屋の近くの信号で信号待ち。ぽろぽろとやってくるランナーを見つける。そのうち堀さんもやってくるだろうと立ち止まって話をしていたが、当の堀さんはもう既に折り返した後だった。第2のコンビニ休憩は、その先をしばらく行ったampm。まだまだ元気。ここでも7~8分休憩して出かける。

 その先はいつも走り慣れたサイクリングロード。ぱっと視界が開け、頂の白い富士山が目に飛び込んできた。素晴らしい景色と、走り慣れたところでほっとする。天気がいいせいか、ランナーだけでなく、散歩やサイクリングの人たちがたくさん出ている。その中を、やや疲れた走りの我がメンバーが、茅ヶ崎・柳島を目指す。車や信号の心配をすることもないので集中して走り、あっという間に柳島の終点に到着。このあたりで一休みしたいところだったが、皆そのまま先を目指している。

 私は、のどが渇き、立ち止まってボトルの水を飲む。右手のコンビニを恨めしく見ながら、前のメンバーを目指して走り出す。湘南大橋を渡り相模川を越えると平塚市。渡りきったところに見慣れた車、中村さんだった。冷たい水を補給する。ちょうどいいところに居るものだと感心して、ほっとひと息入れる。

 この先が長かった。途中、平塚から大磯にかけて、前方に、オレンジのパンツのランナーらしき姿を発見。あれは鈴木君だろうと、一同色めき立つ。立ち止まっている鈴木君に冗談を飛ばしながら、軽くパスする。

 そろそろ、箱根駅伝、大磯の中継点が近づいてくると、急に松岡が元気になる。軽く皆を引き離し独走態勢、あっという間に視界から消えた。残されたのは上野、対馬、瀬川、本吉の4人。大磯からはとりあえず海岸線を行き、太平洋岸サイクリングロードに入る。いきなり上りが現れ選択を誤ったかと思ったが、信号、車もなく、割合に走りやすかった。

 大磯プリンスの手前で国道に出る。ひょっとしたら松岡が見えるのでないかと思ったが、敵も快調だったのか、何も見えなかった。ひょっとしたら抜いてしまっているかとも思ったが、途中会うこともなかった。そろそろ、補給が欲しい頃だったが、なかなか目的のコンビニが見つからず、休憩となったのは、二宮に入ったあたりだったろうか。補給の間隔が開いてしまったため、かなりのダメージが来ていた。

 補給物は、相変わらず飲みやすいゼリーとスポーツドリンク。食欲はあまり無かった。このあたりから、4人のペースが少しずつずれ、ばらけ始めた。次のコンビニ休憩はとりあえず小田原と決める。距離的には、フルマラソンは越えているあたりだが、まだ20キロ近く残っており、いちばんつらいところだった。ペースはそれほど落ちず、キロ6分を切る程度で走っていたが、国府津のあたりから対馬が先行する。4人は既にばらけていた。

 対馬は私の前方100m程のところを走行、ほとんどその差が変わることはなかった。そろそろ小田原の街に入るあたりに、また救世主のような中村さん。既にボトルの水は無くなり、どうしようかと思っていた矢先だった。たっぷり水を補給し走り出すが、思うようには走れない。エネルギー不足のようである。なるべく早く補給をと思うが、止まる勇気もない。熱海への道と別れ、ターンパイクの入り口の手前にコンビニを発見。たまらず補給、やはりここでも水とゼリー。

 やっと元気を取り戻し、最後の5キロを走り出す。後ろに、瀬川の姿を発見。なんとか、瀬川より先着を、との思いで、湯本へ続くゆるい上りをひた走る。湯本方面に向かう車の渋滞の中を、縫うようにすり抜け、箱根駅伝5区の中継点を通過する。もう残りは2キロほどであるが、最後だけにつらい。

 そう思いながら走っていると、後ろからバイクのお兄さんの私を呼ぶ声がする。ひょっとしたらと思って声をかけると、案の定、会社の同僚だった。彼には湯本60キロの話をしておいたが、まさか彼も見かけるとは思わなかったらしい。その彼とは、春の西湖でも遭遇している。偶然とは恐ろしいもの。最後に勇気づけられ、上り坂を踏ん張る。目の前の切り通しを越えれば、もう下りで湯本駅も見えてくる。しかし、駅は見えても遠かった。

 やっとの思いで駅を通過。きょろきょろしながら、鉄人のメンバーを捜す。右手、奥の方に皆の姿を発見、ほっとする。なんとかゴールにたどり着いた。もう今日は走らなくて済みそうだ。タイムは6時間50分。当初の目標は7時間、ほぼ予定どおりという満足のいく結果となった。

 その後はゆっくり温泉につかり、広間でビールを味わい、60キロランの余韻に浸ることができた。ロード60キロ、いい経験ができました。ウルトラ、100キロの足がかりができたような気もするが、やはりレースとするには何か違うような気がした。とりあえず当分ウルトラに出場することは無いだろう。10月の走り込みにとどめておく方がいいような気がした。


  
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